メロンの季節

今年もメロンの季節になってきました。メロンといえば皆さん夕張メロンを想像したくらい全国的に夕張が有名ですよね。収穫されたメロンは札幌市中央卸売市場での初競りを経て、各地に出荷されます。夕張市農協によると、農家103戸が約3800トンの出荷を計画し、販売総額約22億円が目標。収穫のピークは7月上旬~中旬の見通です。

今年の夕張メロンの初せりはコロナの影響で価格が上がらず、最高値は1箱(2玉)12万円で、昨年の500万円に比べ、約40分の1の値段に落ち込んだ。コロナウイルスの影響で観光の需要が減る中、販売先の見通しが立たないためと見られています。

夕張メロンは毎年初競りで高値がつくことで知られ、2010年以降の最高額は毎年、100万円以上だった。札幌市中央卸売市場によると、12万円は記録が残る01年以降、最も安い。札幌みらい中央青果果実部の木澤岳志さん(62)は「夕張メロンは近年、インバウンドなどの観光客に多く購入してもらっていたが、今年はコロナウイルスの影響でその見込みがない」と話した。

 

私が住んでいる町も夕張の近くでメロンの産地となっています。子供が小さい頃に仕事でメロン農家に出入りする事が多く、毎年、沢山のメロンを頂きました。メロンは食べるタイミングが難しく、熟しすぎると身が柔くなりすぎてドロドロになり、甘さも口に刺さるような刺激があってあまり美味しくなくなってしまいます。果実のお尻の方がわずかに黄色味ががかって少し柔くなった頃が食べごろです。当然市場に出荷するためには少し早めに収穫しますが、出荷が最盛期の時期になると収穫が間に合わず、ビニールハウスの中で完熟してしまうものがでます。この完熟してしまったメロンが出荷できないため、庭先で販売したり、我々のような農家に出入りする関係者が頂いたりしていました。これが本当に美味しいのですが、頂いてから日数が過ぎると過熟になってしまうので早めに食べます。当然、4分の1カットや8分の1ではなく、2分の1つまり半分づつ食べていました。我が家の子供たちもメロンは半分ずつ食べるのが当たり前と思って育ちました。私自身も社会人になってから初めてメロンを食べるようになり、半分づつ食べるのが普通だと思っていました。でも、世間ではメロンは高級果実なので4分の1カットや8分の1カットで食べるのが当たり前なんですね。

 

夕張メロンは「札幌キング」という品種を使用しているはずです。この品種はある系統のメロンともう一つの系統のメロンを掛け合わせたF1(雑種)の種です。このF1の種が発芽して結実し実ったのが夕張メロンになります。従って夕張メロンの中にできる種は来年の夕張メロンの種にはなりません。毎年毎年このF1(雑種)の種を栽培し翌年の種にします。このF1が「夕張キング」です。

夕張の近隣で古くからメロン栽培に力を入れてきた我が町も同じ夕張キングを使用し、夕張と共にメロンの産地形成を行ってきました。

ところが夕張が平成5年に「夕張メロン」の商標登録をして、夕張キングの使用を禁止してしまいました。これを機会に我が町や近隣のメロン産地は品種選定の迷走の時期に入りました。

あれから25年以上が経過し、我が町のメロンの品種もある程度落ちついたように見えますが、糖度はそれなりでも、あの夕張キングの食感の良さには追いつけてないような気がします。

 

商標登録は悪いことでは無いのでしょうが、農協同士でもう少し広域に協調し、あの「夕張キング」を北海道のメロンとして広めていって欲しかったですね。