熊本県「ダムなし治水」?

熊本県南部の記録的豪雨で一級河川球磨川が氾濫し甚大な被害が出ている。この河川の流域で数箇所も氾濫する場所が出てしまっています。熊本県知事はダムによらない治水を12年間できなかったことが非常に悔やまれると語ったという記事が出ていましたが、ダムによらない治水とはどういうことなのか。

この球磨川水系では1966年から川辺川ダムの計画が国の指導で進められていましたが、流域市町村の意向を汲んだ知事が2008年9月に計画反対を表明し、国もそれに従って計画の白紙撤回を表明、翌年2009年から国と県流域市町村でダムに変わる治水対策を協議してきた。これが「ダムによらない治水」ということです。しかし資金面のこともあり、抜本策を打ち出せないまま、12年が経過し、今回の大洪水の被害が発生してしまいました。

「今回球磨川の氾濫を実際に見て大変ショックを受け、改めてダムによらない治水を極限まで検討する必要性を確信した次第だ」と述べているようですがこの12年間何もしなかったということは無策の行政であったということではないでしょうか。

ニュースで見た範囲ではとんでもない水位まで住宅街の洪水の水は流入しており、あっという間に自家用車が浮いて流されるくらいの水位になったようです。結果的に家の中にも大量の水と泥が流入し、泥をかき出すだけでも不可能に近いくらいの量が蓄積しているのがニュースで見えました。地球温暖化の影響でかつて記録したことのない量の雨が降ったという事態らしいですが、本当に被災した方々は大変な目にあっておられるようです。もし自分がこのような水害に遭ってしまったら、またこの家に住めるように掃除をしようという勇気はなかなか出すことができないのではないだろうか。

もう少し被害を食い止めるような治水対策がこの12年間にできていればここまで酷いことにはなっていなかったのではないだろうか。

私が5歳ぐらいの時に身近に川の氾濫によって洪水となった家を見たことがあります。その時の記憶では川と堤防の間に住宅が沢山建っていて、全部の住宅が2階部分まで水没していたのを記憶しています。私の家は堤防の外側にあって水害にならずに済んでいるが、どうして堤防の内側に住宅が建っているのだろうと小さいながら疑問に思ったのを今でも覚えています。これも行政の不備によりこんな場所に住宅が建てられていたのではないかと、大人になってから思いました。

行政はとかく無責任になりやすいのが現状ですね。担当者が頻繁に交代し、責任を取るものがどこにもいなくなってしまいます。今回の熊本県知事は12年間も続けているので、責任回避という訳にはいきませんね。