給付金10万円の申請方法に疑問?

今朝の新聞で給付金10万円についての記事を見ました。この10万円の申請を事情があってできない人々が沢山いるという内容でした。給付の条件は、住民票のある人々に対し市町村を通じて給付するというものでしたが、例えば家庭内暴力によって居場所を知られたくない人は避難場所に住んでいながらも、そこには住所を変更していません。なぜなら住民票をもと住んでいたところから現住所へ移すことによって、暴力の相手に自分の居場所を特定され発見されることを恐れているのです。このような人々は家庭内暴力だけでなく、他の理由でも沢山いるということです。また申請書があってもその内容を読み取ることができない人々もいます。社会の中で普通に働いている人でも、例えば漢字が全く読めない方々もいます。ひらがなをふってあれば意味を理解できることでも、漢字で書かれていると全く理解できないし、また文字そのものがうまく読めない人々も大勢います。政府の国民に対するこのような体制というのは本当に国民のことを考え、国民に優しい政治とは全く言えないもののようです。

では海外の現状はどうなのでしょうか。例えばイギリスなどは申請を待たずに、国に届けられている各個人の口座に早急に給付金が振り込まれたというニュースも出ていました。

アメリカでは3月末に、年収9万9000ドル(約1,050 万円)以下のすべての個人に対し、1人あたり1200ドル(約13万円)、子供500ドル(約5万4,000円)の一律給付金支給を決定し、4月上旬には口座へ振り込みが実施されていたということです。つまり申請書類を提出しなくても自動的に振り込まれたということです。

アメリカで、新型コロナ対策の一律給付金や失業保険にここまで素早く対応できたのは、会社員であっても確定申告は個人で行わなければならない制度によるところが大きく、補助金を受け取る条件としては過去2年間確定申告をしていることが条件となります。  また、日本のマイナンバーにあたるソーシャルセキュリティーナンバーは、銀行口座開設や運転免許証取得、アパートなどの賃貸契約にも必要です。もちろん、確定申告にも紐付けなければなりません。

全ての市民とソーシャルセキュリティーナンバー、銀行口座、前年度の収入情報が繋がっているので、現金給付をすることは比較的簡単です。一方、日本では確定申告をするのは個人事業主など限られた人だけなのに加え、マイナンバーカードはあまり普及してなく、マイナンバー制度は今の時点では民間企業が利用できません(=銀行口座と紐づいていない。今後、民間利用を進める検討がされている)。 給付金の手続きのスピードの違いは、こうした制度の違いにあるのかもしれません。

文頭で述べた家庭内暴力の被害者のような社会的な弱者に対する報告は見つけられませんでしたが、アメリカにもそのような人たちや、貧民街の人たちも日本より沢山いると思われますので、何らかの対策は立てられているのでしょう。

今回の新聞記事を読んで気づきましたが、社会的弱者に対する配慮というものを考えて制度を立案していくことが、住みよい日本を作るために必要なことなのではないでしょうか。アフターコロナの時代として、何でも申請を基本とする日本社会は今回を機会に変わっていかなければならないですね。