かんぽ不正販売問題とは次のような内容です。
日本郵政グループ傘下の日本郵便の郵便局員が、嘘の説明などをもとに、かんぽ生命の保険商品を不正に販売していた。郵便局員400人超の法令違反2200人超の社内ルール違反が認定されたが、調査や処分はまだ続いている。金融庁などは昨年末に、日本郵便やかんぽ生命に一部業務停止を命じた。かんぽ生命は現在も積極的な営業は自粛している。
これが大体の概要であり、日本郵政グループのかんぽ生命の不正問題は今節目を迎えようとしています。会社側は役職員の大量処分を行い保険の営業再開を検討中である。しかし被害者は今も不利益が回復していないと訴える人も多く、例えば今回新聞の記事に載っていた人は次のようなことを訴えています。
母親が郵便局員に、「このままだと相続争いになる」などと説得され複数の書類に署名、母親自身は今の生命保険の保険金受取人を自分から息子に変える手続きだと思っていました。しかし内容は今の保険を解約し、新たな保険に加入するというものでした。この場で郵便局員は家族の同席を拒否するよう求め、契約の内容も本人が思ってるものと違う内容にし、告知書の記入については「全部いいえに丸を」と指示していました。
この内容について郵便局員側は家族の同席を求めたのに本人が当日中の手続きを希望したためそのまま契約を行い、重大な問題はないとしています。
日本郵政側は問題はなかったと主張し、本人が主張してることに対し和解案を示して掛け金を返すとしており、内容の不正については認めていないということらしいです。
このような被害者がまだ納得していないという段階なのに、保険事業の営業再開を検討中という日本郵政グループはどのような考えがあるのでしょうか。社内で大量処分を行ったからというだけで信用を回復できる訳がないのではないでしょうか。
加入内容を本人に明瞭に知らせないまま違う保険に入らせてしまうことは言語道断であります。さらに告知書の記入に「全部いいえに丸を」と指示したということは、我々が保険に加入する際も時々あることとは思いますが、それは本来、信頼関係が成り立っている中でのやり取りであるはずです。
日本郵政が民営化される前の郵便局は地域の住民の拠り所であり、郵便局員は高齢者にも本当に信頼されながら仕事をしていたと思います。
私が仕事によく訪れていた高齢者夫婦は、田舎で自家用車もないため生活費その他現金が必要なときはいつも郵便を届けてくれる郵便局員に通帳と印鑑を預け、翌日現金を持ってきてもらうようお願いするのが普通でした。ここのおばあちゃんが「私たちは郵便屋さんのおかげで生活させてもらってるよ」といつも言っていたのが印象的に思い出されます。
また、私が若く、子供も小さくてまだあまりお金がかからなかった頃、子供にかけた学資保険の掛金を集金に来る郵便局員の人が、子供が小さいうちに貯金を沢山しといた方がいいというアドバイスをくれて、その当時金利の一番高い定額貯金教えてもらい、そこに貯金したお金が10年後には2倍になって戻ってきたのを覚えています。
昔、郵便局は信頼できるところだったのに、なぜ民営化されてからこのような不祥事が起きたのでしょうか。公務員として郵便局で働き生活していた人たちが、民営化を境に急にノルマをかけられるような働き方をしなければならなくなり、民間の保険外交員のような教育を受けていなかったため、ノルマ達成のことだけを最優先に仕事をするようになってしまったのではないでしょうか。会社自体も公務員的な感覚のまま事業を進めた結果で、この部分をしっかり教育して行けなければ日本郵政の郵便局は生き残っていくことができないのではないでしょうか。