皆さんは「うし」というとどんな動物を想像するでしょう。日本では、牛乳を搾るための乳牛か、但馬牛などで有名な肉牛を想像すると思います。世界では、多種多様な乳牛や肉牛がいて、ホルスタイン種やブラウンスイス種等の乳牛、アバディーンアンガス種やヘレフォード種等の肉用種、乳肉兼用種のシンメンタールなども飼われています。
ホルスタイン種 ブラウンスイス種
この2種類が日本でよく見られる乳牛です。
アバディーンアンガス種 黒毛和種
上の二つの写真はいずれも肉牛ですが、どちらも日本にもいます。特に黒毛和種は、日本固有の肉牛として、海外に輸出しない方針を国がとっています。しかし、オーストラリアやアメリカではすでに黒毛和種が生産、肥育されています。
皆さんにはどちらも同じ種類の牛に見えると思います。この2種類の種類の違いはわかりますか?
黒毛和種は角(有角)がありますが、アバディーンアンガスは角(無角)がありません。
さて、皆さんの生活の中で乳牛と関連したことといえば、色々あるとは思いますが、学校給食などにいつも出ていた牛乳ではないでしょうか。もちろん、ヨーグルトやチーズ等の加工乳製品も食べているとは思いますが、なんと言っても牛乳が最も身近にあるのではないでしょうか。
では、牛乳はどんな物で、どのように作られるのでしょうか。皆さん、考えたことはありますか。写真などでよく見かけるホルスタイン種を飼えば、牛乳を搾り続けられると考えていませんか?
違います。ホルスタイン種は牛乳を沢山搾るために改良されてきた種ではありますが、本来は動物です。牛乳は子牛に授乳し、育てるためのものです。
この子牛を育てるための牛乳を食品にするため、人間が家畜として乳牛を飼うことにより機械で搾り(搾乳と言います)、食品として手を加えて販売しています。つまり、子牛を妊娠し産まなければ牛乳は出ないのです。
乳牛を飼っている酪農家は、牛の健康状態を観察しながら、牛に人工授精を実施し妊娠させ、約290日後には出産(分娩)できるように管理しています。現実的には平均で430日くらい(北海道)に一回出産できるように管理されています。
分娩した牛の牛乳は4、5日くらいは初乳と言って子牛に渡すための免疫タンパク質の沢山含まれたものが出るため、この期間のものは子牛に飲ませることにより、子牛の健康を確保します。この時期を過ぎたものは全て搾乳により搾り取られ、バルククーラーというタンクに貯留されてから、専用のタンクローリーにより出荷されていきます。
少し分かってもらえましたか?牛乳は乳牛からずっと搾り続けられるのではありません。