牛の妊娠

牛乳を搾る(搾乳)ために飼われている牛たちは、お産することにより牛乳が出始めますが、では、どの様にして妊娠しお産するのでしょうか。

酪農の牧場には、雌牛しか飼われていません。雄牛は成長しても牛乳を搾れないため、一週間くらいで市場に出されてしまいます。

では、どの様にして妊娠するのでしょうか。肉牛等場合、昔は雌の群の中に雄牛を1頭入れておいて雄牛が勝手に交配していく、所謂、「まき牛」という方法を多くとっていました。

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牛群の中に写真の様な種雄牛を1頭入れて「まき牛」を行っていました。

 

現在では、凍結精液(精液を0.5mlのストローに充填し凍結したもの)が簡単に流通し多種多様な精液を容易に入手することができるようになったため、人工授精が行われる様になりました。

雌牛だけの牛群の中でどの牛に人工授精を実施するのか?それは雌牛だけの群でも、その中に発情の牛(雄牛を許容できる、排卵直前の状態)がいると雌牛同士で乗り合う乗駕行動をします。その時、乗られてもじっとして動かない牛(スタンディング発情と言います。)が人工授精を実施できる牛です。

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人工授精はどのように行われるのでしょう?

0.5mlのストローに入った凍結精液をお湯で融解し、精液を入れるための注入器に装着し、これを獣医師か人工授精師が雌牛の子宮の中に注入します。

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上の写真が精液の入ったストローです。これを下の注入器に装着し、人工授精を実施します。


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直腸検査といって片方の腕を直腸に挿入し、直腸壁を通して子宮の上から入り口を捕んで、注入器を子宮内に誘導し、反対の手で注入器の中芯を押して精液を子宮内に注入します。

 

こうして母牛は妊娠します。上手くいけば1回で妊娠しますが、最近のデータでは2回から3回くらい性周期(平均21日)ごとに人工授精を繰り返してようやく妊娠することが多くなっています。乳量が少なかった時代は1回くらいで妊娠するのだ普通だったのですが、品種改良が進み乳量が増加するに従って次第に妊娠しずらくなってきています。

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直腸検査や超音波装置、牛乳の中に出てくるタンパク質の測定等により妊娠鑑定して妊娠が確定したら出産の予定日を決めます。

牛の場合は、人工授精の実施日の月数から3を引いて、日に7を足した月日を出産予定日とします。例えば、7月6日に人工授精が行われたとき、月数の7から3を引いて4月、日数の6に7を足して13日、つまり来年の4月13日が出産の予定日となります。間に2月があるかないかにより多少異なりますが、妊娠期間288日から289日が出産予定日となります。

牛は人工授精が行われる発情の翌日に排卵しますが、人間の排卵日は明瞭でないため、最終生理を基準にして280日を足して予定日とするようです。