牛乳の搾り方

 

みなさん、観光牧場で搾乳体験として手搾りを体験したことある人いるかな?

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乳搾りの始まりは手搾りだったのよ。

酪農業の最初の頃は、一軒の農家に1頭か2頭の乳牛を飼って、手搾りで乳搾りし、ウンコやオシッコは堆肥として発酵、畑の栄養源として利用するところから始ったんだよ。

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北海道を例にとれば、明治の開拓時代にエドウィン・ダンというおじ様がアメリカから日本に来てその指導により酪農が始まり、開拓農家に1、2頭の乳牛が飼われるようになっていったんだよ。

昔の乳牛は、まだあまり品種改良されていないので乳量少なく、世間的にも冷蔵庫なども普及していなかったので、牛乳は手に入ることも少なくてね、手搾りでも十分に間に合ったのよ。1960年頃まで手搾りが主流で、ミルカーという機械搾乳が本格的に利用され様になったのは大阪万博、よど号ハイジャック事件、日本をニッポンの呼び名に統一、三島由紀夫割腹事件なんかがあった1970年代からなんだよね。

私には、記憶にあることばかりなのでそんなに昔でないような気がするけど、計算してみるとなんと約50年も前の頃だよね。

随分昔だな。50年もの間、機械搾乳の欠点である乳房炎の発生を克服できずにいるということは、子牛による哺乳が生き物の営みとして自然で、機械搾乳という人間の搾取は如何に不自然なことであるかを物語っているよね。

 

ミルカーの種類は2つに分けられ、「バケツ(バケット)型」と「パイプライン型」があり、機械搾乳の始まりは、バケット型だけで搾乳が行われていたんだよ。

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バケットミルカーで搾乳していた頃は、搾乳した牛乳(約20kgから30kg)を人力でバルククーラー(搾乳した牛乳を冷却して貯蔵しておくもの)の中へ入れなければならなくて、これが重くて重くて酪農家の重労働の一つだったんだよ。

 

f:id:sinmaisinia:20210103160525j:plainバルククーラー 

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クーラーの中は羽が回って自動的に撹拌されているよ。

 

バッケットの牛乳をバルククーラーにあける重労働から解放したのが、パイプラインミルカーだよね。

 牛から搾り出したお乳を直接牛乳処理室までパイプで送乳する方式で、運ぶ手間がはぶけるため、中・大規 模の経営の酪農が使っているよ。

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                カウシェイド用パイプラ インミルカー

現在、バケツ型は子牛に飲ませる牛乳、乳房炎および治療中の出荷できない牛乳の搾乳に使っていて、パイプライン型は、牛舎内にミルクの通路になるパイプとミルカーを真空にする為のパイプの2種類のパイプがつけられていて、その2つのパイプラインを使って出荷用の牛乳を搾っているよ。

パイプラインミルカーは、牛舎内で使用するカウシェイド用パイプラ インミルカーと、「通称パーラー」といわれる専用搾乳室で使われるミルキングパーラー用パイプライン ミルカーの 2 種類があって、補助事業などで「パーラー」が増えつつあるよ。

f:id:sinmaisinia:20210103161826j:plainミルキングパーラー用パイプライン ミルカー

 

カウシェイド用パイプラインミルカーは小規模、中規模酪農家で、ミルキングパーラー用ミルカーは大規模酪農家で使っている。

ミルカーの装着の時、カウシェイド用は中腰にならなければならず腰が痛くなりやすいけれど、ミルキングパーラー用は起立したまま装着できるので腰に負担がかからないのが非常にいいんだねこれが。だから多少値段が高くても、腰に自信がなく、経済的に余裕のある酪農家は100頭以下の少ない頭数でもミルキングパーラーを利用しているんだよ。

 

最近では「搾乳ロボット」も登場、アメリカやカナダ等の海外や北海道の酪農家さんの間で普及しつつあるよ。

搾乳ロボットとは、それぞれの牛個体のデータをセンサーで読み取り、乳量や乳房の形を読み取り、全自動で搾乳を行ってくれるという、農家にとっては夢のような機械なんだな。でも値段は非常に高く、60頭用で約3、000万円近くするのでそう簡単には使うことができなかったんだよね。

でも、最近では国のクラスター事業(かなり高い補助率)で多くの農家が取り入れ始めていて、酪農家の人も労働が楽になってはきてはいるけど、近い将来、この搾乳ロボットの更新時期が来た時に国が今のような補助事業を行ってくれるかどうかが、すごく心配。