牛乳はたくさん出るの?

本当はね、子牛ちゃんを育てるために出してるのが牛乳なのよ。でも今の日本で飼われている、いわゆる搾乳用の牛さん、代表的なホルスタイン種(日本の乳牛のほとんど、99%がこの子たちなのよ)って、いったいどのくらい牛乳を出していると思う?これをね、「泌乳量(ひにゅうりょう)」って言うのよ。

それからね、うんちの量は食べる量によって変わるんだけど、搾乳している牛さんだと、1日にだいたい45~50kgくらいのうんちと、15kgくらいのおしっこをするのよ。びっくりしちゃうわよね。出たうんちはね、ちゃんと発酵させて「堆肥」にするの。そうやって肥料にして、牧草地なんかにまいているのよ。

私が就職したのはもう40年くらい前なんだけどね、そのころは乳牛1頭あたり、1年間に出る牛乳の量は5,000kgくらいだったのよ。それがね、いろいろ改良を重ねてきたおかげで、今では1年間に約9,000kgも出るようになったの。ほんと、時代は変わったわよねぇ。

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     (農林水産省「畜産統計」他 のデータ)

 

 

乳牛の泌乳量ってね、出産した直後は1日だいたい20kgくらいなのよ。でもね、分娩してから2カ月くらいすると一番多くなってね、30~50kgくらい出るの。中には60kg以上も出しちゃう牛さんもいるのよ、すごいわよねぇ。60kgったら大人の一人の体重よね。

今飼われている乳牛はね、人間が使うために、たくさんお乳が出るように改良されてきたのよ。それでね、1乳期でだいたい9,000kgくらい出すの。なかにはね、1日70kgも出して、1乳期で20,000kgを超える生乳を出す牛さんもいるのよ。そういう子たちは「スーパーカウ」なんて呼ばれてるの。ほんと、びっくりしちゃうわよね。

じゃあね、子牛を育てるのにはどのくらい牛乳が必要なのかしら、って思うでしょ?

ある報告ではね、和牛は子牛を産んでから6カ月間で486kgくらいお乳を出したって言われているのよ。1日あたりにすると3kg弱くらいね。和牛の子牛はホルスタインの子牛の半分くらいの体重しかないから、そのくらいの量がちょうどいいって言えるんじゃないかしらね。

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和牛の場合はね、ふつう生まれた子牛ちゃんは母牛とずっと一緒に過ごして、6カ月間育つのよ。そのあとね、おっぱいはやめて、乾草なんかのエサを食べるようになっていくの。

この数字をね、単純に1年分に直して考えてみると、多めに見ても1年間で1,000kgくらいにしかならないのよ。つまりね、今牛乳を搾るために飼われている母牛さんたちは、本来体に必要な量のだいたい9倍ものお乳を、1年間で搾られているってことになるのよ。ほんと大変よねぇ。

そのせいでね、牛さん本来の食べ物である牧草だけじゃ足りなくて、配合飼料みたいな穀類まで食べさせられているのが今の現状なのよ。本当は自然の食べ物じゃない穀類をたくさん食べさせられるから、いろいろな病気になっちゃうこともあるの。かわいそうよねぇ。

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人間でいう乳腺炎みたいな乳房炎とかね、不妊症みたいな繁殖障害なんかも、ほんとに多いのよ。

乳房炎っていうのはね、4本ある乳首のうちどれかが細菌に感染して炎症を起こしちゃうの。そうするとね、体全体に熱が出たり、その乳首から牛乳が出なくなっちゃうこともあるのよ。つらいわよねぇ。

それから繁殖障害っていうのはね、次のお産のために妊娠しようとしても、なかなか妊娠できない状態が続いちゃうことなの。これも大変なのよ。

いくら家畜として飼われているとはいえ、なんだかかわいそうよねぇ。

 

 

 



牛にも水虫?

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足の水虫って、なんだか男性に多いような気がするのよ。でもね、一度かかっちゃうと、毎日こまめにお薬塗ったりして、自分でちゃんとケアしないといけないから、なかなかスッキリ治りきらないことが多いのよねぇ〜。

水虫ってのは、白癬菌(はくせんきん)っていうカビの一種が原因なの。これがまたしつこいのよ〜。水虫っていうのは正式には「足白癬(あしはくせん)」って言ってね、主に3つのタイプがあるのよ。

◯趾間型(しかんがた)
これはね、足の指の間にできるタイプで、いちばん多いの。特にね、薬指と小指の間にできやすいのよ。白くふやけたり、皮がめくれちゃったり、赤くただれたりして、かゆみがすごいの。もうたまんないってくらい。

◯小水疱型(しょうすいほうがた)
足の裏とか、足のフチ、指の付け根あたりにちっちゃな水ぶくれができるの。で、それが破れて乾いてくると、皮がポロポロむけちゃうのよね。梅雨の時期に出やすいけど、秋にはよくなることもあるわよ。これもかゆいのよ〜。

◯角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
これはね、かかとが中心で、足の裏の皮膚が分厚くなってガサガサになっちゃうの。ひび割れたりすると痛いのよ。でもかゆみはあんまりないの。冬でもずーっと続くことがあるのよねぇ。

それでね、実は牛にも似たようなカビの病気があるのよ。皮膚真菌症(ひふしんきんしょう)って言ってね、原因はトリコフィトン・ベルコーサムっていう菌。人間の水虫の菌の親戚みたいなもんよ。

この菌に感染するとね、牛の皮膚にかさぶたみたいなのができて、毛が抜けちゃうの。かゆいもんだから、牛が壁に体をこすりつけたりして、そこからまた他の牛にうつっちゃうのよね。若い牛ほどかかりやすいみたい。

       

                          

でね、人にもこれ、うつるのよ!とくにね、牛のお世話してる酪農家さんとか獣医さんならともかく、普段牛に触れない人が、子牛なんかとふれあうと、けっこう簡単に感染しちゃうの。腕とか首すじとか、皮膚が出てるところにね。

私、酪農の現場で、腕や首に赤くなってる人、見たことあるわよ〜。

でね、人間の皮膚科の先生でも、牛の病気って知らない人もいるから、水虫じゃなくて湿疹とか細菌感染と間違えて、お薬も合わないの出しちゃうことあるの。抗生物質とかステロイド系の薬使っちゃうと、逆にカビが元気になっちゃって悪化しちゃうこともあるのよ。だからね、もし感染したかな?って思ったら、「牛からうつったかも?」って、ちゃんと先生に伝えた方がいいわよ!

   

観光牧場とかでね、子牛とふれあったり搾乳体験したあとなんかは、しっかり手洗いと消毒ね!おばさんとの約束よ!

 

胃下垂と似ている病気 第四胃変位

 

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  • 胃下垂(いかすい)っていうのはね、胃が普通の位置よりも下がっちゃってる状態のことよ。ひどくなると、胃が骨盤のあたりまで落ち込んじゃうこともあるんですって。お腹の不調を訴える人もいるけど、全然症状が出ないこともあるのよね。だから、西洋医学では病気として扱われないことも多いのよ。バリウム検査をすると、胃が骨盤より下にあるかどうか分かるんだけどね。

    それからね、胃アトニーっていうのは、胃下垂が原因で胃の筋肉がたるんじゃって、胃の動きが悪くなることなのよ。

    胃下垂だけならあまり症状はないんだけど、胃アトニーがあると消化不良を起こしやすくなって、胃もたれとか、胃の痛みとか、ゲップが出たりするのよねぇ。

    細身の女性に多いっていうのも特徴なのよ。あとね、甲状腺の病気とか、脳下垂体の問題、それに手術や出産を何度も経験すると、こういう状態になっちゃうこともあるんですって。ほんと、体って不思議よねぇ。

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  •  

    牛にはね、胃が四つあるんだけど、その中で人間の胃と同じ働きをしてるのが 第四胃 っていうのね。それがね、たるんじゃって(アトニーっていうのよ)、ちゃんと収縮しなくなっちゃうの。そうすると、胃の中にガスがたまっちゃって、まるで風船みたいに膨らんじゃうのよ。

    でね、そのせいで、本来はお腹の下の方にあるはずの胃が、上の方にズレちゃうの。これを 第四胃変位 って呼ぶのよ。

    それでね、胃が 左の腹壁 に沿って上がってくると 第四胃左方変位右の腹壁 に沿って上がると 第四胃右方変位 って言うんですって。ほんと、牛も大変よねぇ。

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  • ほらね、例えばだけど、左にズレる「左方変位」って場合ね、左の図を見てもらえれば分かると思うんだけど、普通は第四胃ってのはお腹の下の方にあるのよ。でもね、これがズレちゃうと、右の図みたいに左の腹の壁に沿って、風船がフワ~ッと上に上がるみたいに移動しちゃうのよねぇ。

    でね、左方変位ならそこまで胃にダメージがないから、すぐに手術しなきゃ!ってほどじゃないんだけどねぇ、右方変位になっちゃうと、胃がクルッとねじれちゃうことが多くてね、そうなるともう大変! なるべく早く手術しないといけないのよ~。特にね、分娩(赤ちゃん産んだあと)した後って、お腹の中のスペースがガバッと空くじゃない? そしたらね、食欲が戻らない時なんかに、この四胃変位ってのが起こりやすくなるのよ。でもねぇ、この病気が起こる原因ってね、いろんな説があって、これ!っていう単純な理由じゃないみたいなのよねぇ。

    でね、治療方法だけど、ほぼ100%外科手術なのよ! まずは、第四胃に溜まったガスをシュ~ッと抜いてから、元の位置に戻して縫い付けちゃうの。昔ね、40年くらい前かしら、この病気が出始めた頃はね、お薬や注射で治そうとしたり、牛をゴロンと転がしてガスを抜く「ローリング」とかいう方法が流行ってたんだけどねぇ、これがまた再発しちゃうのよねぇ~。いろいろ試行錯誤した結果、結局、外科手術が一番いいってことになったのよ。

    手術の方法はね、牛を立たせたまま局所麻酔して右のお腹を切る方法と、寝かせて下腹部を切開する方法があるのよ。どっちもだいたい1時間くらいで終わるんだけどねぇ、うちの診療所では、牛さんを立たせたままで手術してるのよ~。その方が負担が少ないし、楽なのよねぇ。

     

脂肪肝

人間で、よく話題になるのが、生活習慣病。特に我々シニア世代には耳が痛くなる話題よね。

生活習慣病ってよく耳にするけど、特に私たちシニア世代にはちょっと痛い話よね。

生活習慣病っていうのは、食べ物や運動、休養、タバコやお酒なんかの生活の仕方が大きく関わってて、それが原因でかかる病気のことなの。でね、がんとか心臓病、脳卒中なんかは、これらの生活習慣病に入るのよ。実際、日本で亡くなる人の原因の上位を占める病気でもあるから、ほんと気をつけないとね。

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「生活習慣病っていう言葉、実は1996年頃から使われるようになったのよね。それまでは成人病って呼ばれてたけど、脳卒中とかがんとか心臓病なんかを、生活習慣が原因になっているって視点で見直した言葉なんだって。最近では、国際的にも、慢性閉塞性肺疾患(COPD)なんかを含めた「NCDs(非感染性疾患)」っていう言葉がよく使われるようになってるのよ。

でね、この生活習慣病と似ているけどちょっと違う病気が「メタボリックシンドローム」なんだけど、これもよく話題に上がるわよね。

メタボリックシンドロームは、内臓に脂肪がたくさんついて、血圧や脂質、血糖値が2つ以上問題がある状態を指すの。似てるようで、実は生活習慣病とはちょっと違うんです。ここで気をつけないといけないのが、メタボリックシンドロームの基準ってちょっと厳しめなのよ。例えば、高血圧や高脂血症、糖尿病って言われていないから大丈夫だと思ってても、実は内臓脂肪がたっぷりあって、他の検査結果も少し悪いと、メタボリックシンドロームに該当しちゃうことがあるの。だから、「自分は大丈夫」なんて油断してると、後でびっくりすることになっちゃうから、ちゃんとチェックしておくことが大事よ!」ウエストが男性で85cm、女性で90cm以上が基準なのよ。

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このメタボリックシンドロームの中の、脂質異常症の部分が牛の脂肪肝という病気と似たところがあるのよ。

乾乳期(分娩前の搾乳していない時期)の太り過ぎた牛にも発症しやすいわよ。

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脂肪肝っていうのはね、肝臓に中性脂肪がたくさん溜まっちゃう状態のことよ。特に牛の場合、分娩前後にご飯をあまり食べなくなったり、飼育のストレスがかかったり、出産後にお乳が出始めることで体がエネルギー不足になっちゃった時に、脂肪肝が発症することが多いの。そうなると、肝臓に脂肪がたまってしまうんだよ。

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肝臓への脂肪蓄積が多ければ多いほど重篤な脂肪肝となり肝臓の機能が失われるのよ。

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左の写真が、黄色っぽく変色してる重度の脂肪肝、右が元気な牛の肝臓よ。

分娩後みたいにエネルギーを十分に摂れなくなると、体の脂肪、特に皮下脂肪がどんどん分解されて、その分解した脂肪が血液を通じて肝臓に大量に流れ込んでいくのよ。もしその量が肝臓が処理できる限界を超えちゃうと、肝臓に中性脂肪として溜まり始めて、肝臓の働きが悪くなっちゃうの。

脂肪肝が軽い時はあまり目立った症状が出ないんだけど、ひどくなると食欲がなくなったり、胃の動きが鈍くなったり、ひどい時はケトーシス(※エネルギー不足で体内にケトンが溜まる状態)になったりすることが多くなるわよ。

脂肪肝が進行すると、さらに「第四胃変位」や「乳熱」、「胎盤停滞」など、分娩前後に起きやすい病気が出てきて、牛の生産性—特に牛乳の量が減っちゃうのよ。

乳牛は分娩後、急に乳量が増えるから、食べる餌だけじゃ足りなくなっちゃうの。だから、太っている牛ほど体にある内臓脂肪や皮下脂肪をエネルギーに変えて、脂肪肝になっちゃうのよ。

ちなみに、この脂肪肝をわざと作って、世界の珍味として食べるのが、フランス料理の「フォアグラ」なのよ。

 

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アヒルに無理やり餌をたくさん食べさせて、わざと脂肪肝の病気みたいな状態を作り出してるのよね。

ほんと、人間って自分勝手なことするよね。

 

 

 

熱射病

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猛暑日が続くと、熱射病症状で救急車により搬送される人が多く出るよね。

症状

「高温のところで熱でヤバくなるのが熱中症ってやつよ。体の温度調整がうまくいかなくて、熱が体にこもっちゃう状態なの。太陽の光がギラギラしてるところでは日射病って言うのよ。部屋とか車の中、すっごく暑いところで起こるのが熱射病ってやつ。子どもは体が小さいから、水分のバランスが大事なのよね。それに、まだ腎臓の機能が未熟だから、脱水症状になりやすいのよ。」

予防

「熱中症を防ぐには、まず水分補給が大事よ。外で暑いところや高温の部屋に長時間いないように気をつけないとね。一度にたくさん飲むのではなく、少しずつ何回も飲ませるのがいいわ。汗をたくさんかくときは、水やお茶だけじゃなくて、スポーツドリンクやイオン飲料もあわせて飲ませるといいわよ。

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対応処置

すぐに、涼しいところに横にならせて、服をゆるめて、体温を下げるようにするのよ。体温が下がって、意識があれば冷たい飲み物を飲ませるわ。

・近くに冷房の効いた部屋があれば、そこに移動するの。

・額や首、わきの下、ももの付け根なんかに冷たい水で湿らせたタオルで冷やすのがいいわ。

・タオルがなければ、服を濡らして体を冷やすのよ。

・扇風機やうちわで風を送るのも助かるわね。



牛にも同様に高温による熱射病はあるんだよ。

炎天下で牛が頭に直射日光を受けると高熱になるのが日射病で、直射日光がなくても暑くてジメジメしてるところで体温の調整がうまくいかなかったり、急に激しい運動をしたりすると熱が体内でめっちゃ増えるのが熱射病っていうの。臨床現場ではまとめて全部を熱射病って言うんだよ。

症状

体温(牛は肛門に体温計を入れて測る)、つまり直腸温度が40℃以上になると、呼吸が速くなって、苦しい呼吸や口を開けた呼吸、たくさんの唾液が出るよ。最初は体から水分を出して体温を下げようとして、立っていられる時間が長くなるけど、ひどくなると立てなくなって、神経の症状も出ることがあるわ。体温を調整する中枢がダメージを受けて、最悪の場合は死んでしまうこともあるのよ。

軽い場合でも、食欲がなくなったり、乳の出が減ったり、子どもを生むことが難しくなったりすることがあるわ。

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治療

臨床現場で、熱射病の牛の診察に行ったら、体温が41℃以上、または体温計が42℃以上になっていることが多いわ。脱水した牛には電解質を補給しながら、とにかく水をかけて全身を冷やすのよ。

体を濡らすだけじゃなくて、30分以上かけて体温が39℃以下になるまで水をかけるの。毛布をかけて、その上から水をかけて牛を冷やす方法も効果的なんだって。

 

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もちろん、体温が下がった後は風とおりの良い涼しい場所へ移動し、牛用の大きい扇風機による送風も必要なのよ。

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中耳炎? 遠く水中で音が聞こえる。

 

耳は外耳、中耳、内耳からできていて、中耳は耳管と言う細い管で鼻の中と繋がってるよ。

鼓膜の奥にある中耳で炎症(化膿)を起こしたのが「中耳炎」
 中耳炎には色々あるけど、一般的に中耳炎と言われているのが急性中耳炎です。鼻の細菌やウィルスが、鼻の奥から中耳につながる耳管(じかん)を通って中耳に入り、炎症を起こすんだよ。

耳は激しく痛み、聞こえも悪くなり耳がつまる感じ、水中で音を聞くように感じるのは、中耳に膿が溜まり、症状が進むと鼓膜が破れて耳から膿が出てくることもある。赤ちゃんはどこが痛いと伝えられないので、機嫌が悪くぐずったりして伝えようとしているよ。

鼓膜は赤く腫れ上がり、抗菌薬を飲んだり、必要に応じて鼓膜を切って中の膿を出すんだけれど、これが凄く痛いんだよね。
 痛みのない中耳炎として、急性中耳炎の後などに鼓膜の内側に貯留液が残り、その結果鼓膜が動きにくくなり聞こえが悪くなる滲出性中耳炎がある。特に子供は順応性が高いので聞こえづらくても気づかないこともあるので注意が必要。

治療は鼻から耳に空気を送る耳管通気(じかんつうき)という処置や、鼓膜を切って中の滲出液を出したりするんだよ。信じられないけど鼓膜を切るんだよね。症状を繰り返すときには鼓膜にチューブを入れることもあるよ。
 急性中耳炎や滲出性中耳炎は治らないと慢性中耳炎などになってしまい、手術が必要になることもあるので、中耳炎は耳鼻咽喉科医師のもとでしっかり治すことが大事だよ。。

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にもマイコプラズマ(Mycoplasma  bovis)が耳管を通して中耳に感染するマイコプラズマ中耳炎があるよ。

子牛のマイコ中耳炎は3から6週令で多発し、肺炎や関節炎を併発している場合が多いんだよ。

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人の場合は細菌による中耳炎で、抗生物質の効果があるけど、子牛の感染するマイコプラズマは細菌より小さい微生物で、細胞壁がないため抗生物質による治療効果が低く、一旦発症してしまうとなかなか治らないのよね。

治りにくい病気なので、予防策としてワクチン接種と抗生物質の投与が推奨されている。

臨床現場では、耳道(中耳、耳管)洗浄が行われており一定の効果はみられるけど、見えない耳の中での治療は、鼓膜を破る際の子牛への疼痛ストレス、外耳内の汚染物が中耳や耳管に入る危険性、炎症を波及させ中耳炎を悪化させる危険性がある。

そのため、内視鏡で見ながら治療する方法がストレスもなく家畜福祉の面からも望まれるよね。

私も小学校5年生の頃、中耳炎を発症し耳鼻科で鼓膜を切開され、あまりの疼痛のため大泣きした思い出が今も鮮明に残ってるよ。そのためか子牛にまだ耳道洗浄は一度も行っていません。

 

 

サルモネラ症

サルモネラ症は、サルモネラ菌によって引き起こされる病気。 普通は、急性の発熱、腹痛、下痢、嘔気、ときには、嘔吐によって特徴づけられ、食中毒の原因菌として聞いたことあるでしょう。 通常、発症するのはサルモネラ菌(弁当などで)を取り込んでしまってから6-72時間(通常、12-36時間)で。、症状は2日-7日も続く。

 

  • 人の医療で、サルモネラ症は、世界で下痢症を起こす4大原因疾患のうちの1つです。
  • サルモネラ症は、世界で下痢症を起こす4大原因疾患のうちの1つです。
  • サルモネラ症は、軽症の人がほとんどですが、ときに、生命を脅かすことがあります。この疾患の重症度は、宿主要因とともにサルモネラの血清型に左右されます。
  • 抗生物質への耐性は、世界的な公衆衛生上の懸念です。サルモネラ症には複数の耐性をもつ血清型の細菌が現れており、食品流通に影響を与えています。
  • サルモネラ症を防ぐ対策には、「十分な調理」といった基本的な衛生習慣が勧められています。

人にはすべての血清型の菌が病気を引き起こします。一方、数種類の菌は宿主に特異的で、1種類もしくは数種類の動物種だけで生存します。例えば、Salmonella enterica血清型Dublin型およびSalmonella enterica血清型Choleraesuis型は、それぞれウシとブタにのみ生存が可能です。これらの特定の血清型の菌が人に疾患を引き起こす場合には、しばしば侵襲的となり、生命を脅かすこともあります。しかしながら、ほとんどの血清型の菌は広範囲の宿主で生存します。通常、このような血清型の菌が起こす胃腸炎は、ほとんど合併症を起こすことがなく、治療も必要としません。しかし、幼少期の子ども、高齢者、および免疫力の弱い患者では、疾患が重篤になることがあります。これらの集団は、Salmonella enterica血清型EnteritidisおよびSalmonella enterica血清型Typhimuriumに特徴的に反応します。これら2種類の血清型サルモネラ症は、世界のほとんどの地域で、動物から人に感染伝播する特徴を有します。

 

感染源と感染経路

  • サルモネラ菌は、家畜および野生動物に広く生息しています。これらは、家禽類、ブタ、ウシ、さらには、犬・猫・鳥などのペット、カメのような爬虫類にも生息しています。
  • サルモネラ菌は、家畜飼料、一次生産物、さらには、食品サービスの製造施設から店舗や家庭内の感染経路まで、すべての流通経路をすり抜けることができます。
  • 一般に、サルモネラ症患者は、動物に由来(主に卵、肉、家禽、生乳)し、細菌の含まれた食べ物を食べることで感染します。肥料で汚れた緑黄野菜など、その他の食べ物とも、当然、関係してきます。
  • 人から人への糞口感染も起こり得ます。
  • 人への感染は、個人がペットなどの感染した動物と接触することでも起こります。これらの感染した動物は、ほとんどが病気の徴候を示していません。

                             厚生労働省より抜粋

 

牛のサルモネラ症は昔から子牛の下痢(腸炎)として知られていたけれど、1990年代以降は親牛(乳牛)の集団感染が多数発生してしているんだわ。親牛の場合は必ずしも下痢を発症するものではなく、保菌牛として無症状で過ごしている牛もいることが難しいところで、知らないうちに牛群に蔓延してしまっていることが多いんだよね。

親牛(乳牛)の場合は、無症状の牛がいつの間にか牛群の中で増加していき、感染牛の中で重症になった牛が発熱、下痢をしてサルモネラ症と診断される。だけども、その時点はもう手遅れ。牛群全体を検査すると、もう牛群の50%前後がサルモネラ菌に感染しているという場合が多いんだよね。

サルモネラ菌に感染した牛は牛乳を搾っても出荷できないので、搾乳牛群での集団感染は莫大な損害になってしまうんだよ。

子牛の場合は、発熱、腸炎、敗血症を主なあ症状として急性、あるいは慢性の感染症で、主な菌はSalmonella.Typhimurium(ネズミチフス菌、ST)、Salmonella.Dublin(ダブリン、SD)、Salmonella.Enteritidis(エンデロティディス、SE)の3種類です。

SDは牛に特異性の高い菌ですが、STとSEは人にも感染し、食中毒の原因としても重要なんです。

 

治療は主に抗生物質だけど、治ってからも見かけ上健康な保菌牛となり、間欠的に菌を出し続けて、ずっと感染源となることもあるので気をつけでね。

また、サルモネラが属する腸内細菌科の細菌種は抗生物質が効かない菌(多剤耐性菌)が沢山出現しているので、抗生物質をつかうときは薬剤感受性を充分考えないとね。抗生物質の乱用は、人間の世界での多剤耐性菌の出現にも影響していますので、臨床獣医師は抗生物質の使用にあたっての配慮が重大な義務となります。

 

食中毒は真夏の猛暑日の続く時期よりも、10月が年間で一番多く発生しているので、気をつけよう。