熱射病

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猛暑日が続くと、熱射病症状で救急車により搬送される人が多く出るよね。

症状

「高温のところで熱でヤバくなるのが熱中症ってやつよ。体の温度調整がうまくいかなくて、熱が体にこもっちゃう状態なの。太陽の光がギラギラしてるところでは日射病って言うのよ。部屋とか車の中、すっごく暑いところで起こるのが熱射病ってやつ。子どもは体が小さいから、水分のバランスが大事なのよね。それに、まだ腎臓の機能が未熟だから、脱水症状になりやすいのよ。」

予防

「熱中症を防ぐには、まず水分補給が大事よ。外で暑いところや高温の部屋に長時間いないように気をつけないとね。一度にたくさん飲むのではなく、少しずつ何回も飲ませるのがいいわ。汗をたくさんかくときは、水やお茶だけじゃなくて、スポーツドリンクやイオン飲料もあわせて飲ませるといいわよ。

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対応処置

すぐに、涼しいところに横にならせて、服をゆるめて、体温を下げるようにするのよ。体温が下がって、意識があれば冷たい飲み物を飲ませるわ。

・近くに冷房の効いた部屋があれば、そこに移動するの。

・額や首、わきの下、ももの付け根なんかに冷たい水で湿らせたタオルで冷やすのがいいわ。

・タオルがなければ、服を濡らして体を冷やすのよ。

・扇風機やうちわで風を送るのも助かるわね。



牛にも同様に高温による熱射病はあるんだよ。

炎天下で牛が頭に直射日光を受けると高熱になるのが日射病で、直射日光がなくても暑くてジメジメしてるところで体温の調整がうまくいかなかったり、急に激しい運動をしたりすると熱が体内でめっちゃ増えるのが熱射病っていうの。臨床現場ではまとめて全部を熱射病って言うんだよ。

症状

体温(牛は肛門に体温計を入れて測る)、つまり直腸温度が40℃以上になると、呼吸が速くなって、苦しい呼吸や口を開けた呼吸、たくさんの唾液が出るよ。最初は体から水分を出して体温を下げようとして、立っていられる時間が長くなるけど、ひどくなると立てなくなって、神経の症状も出ることがあるわ。体温を調整する中枢がダメージを受けて、最悪の場合は死んでしまうこともあるのよ。

軽い場合でも、食欲がなくなったり、乳の出が減ったり、子どもを生むことが難しくなったりすることがあるわ。

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治療

臨床現場で、熱射病の牛の診察に行ったら、体温が41℃以上、または体温計が42℃以上になっていることが多いわ。脱水した牛には電解質を補給しながら、とにかく水をかけて全身を冷やすのよ。

体を濡らすだけじゃなくて、30分以上かけて体温が39℃以下になるまで水をかけるの。毛布をかけて、その上から水をかけて牛を冷やす方法も効果的なんだって。

 

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もちろん、体温が下がった後は風とおりの良い涼しい場所へ移動し、牛用の大きい扇風機による送風も必要なのよ。

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中耳炎? 遠く水中で音が聞こえる。

 

耳は外耳、中耳、内耳からできていて、中耳は耳管と言う細い管で鼻の中と繋がってるよ。

鼓膜の奥にある中耳で炎症(化膿)を起こしたのが「中耳炎」
 中耳炎には色々あるけど、一般的に中耳炎と言われているのが急性中耳炎です。鼻の細菌やウィルスが、鼻の奥から中耳につながる耳管(じかん)を通って中耳に入り、炎症を起こすんだよ。

耳は激しく痛み、聞こえも悪くなり耳がつまる感じ、水中で音を聞くように感じるのは、中耳に膿が溜まり、症状が進むと鼓膜が破れて耳から膿が出てくることもある。赤ちゃんはどこが痛いと伝えられないので、機嫌が悪くぐずったりして伝えようとしているよ。

鼓膜は赤く腫れ上がり、抗菌薬を飲んだり、必要に応じて鼓膜を切って中の膿を出すんだけれど、これが凄く痛いんだよね。
 痛みのない中耳炎として、急性中耳炎の後などに鼓膜の内側に貯留液が残り、その結果鼓膜が動きにくくなり聞こえが悪くなる滲出性中耳炎がある。特に子供は順応性が高いので聞こえづらくても気づかないこともあるので注意が必要。

治療は鼻から耳に空気を送る耳管通気(じかんつうき)という処置や、鼓膜を切って中の滲出液を出したりするんだよ。信じられないけど鼓膜を切るんだよね。症状を繰り返すときには鼓膜にチューブを入れることもあるよ。
 急性中耳炎や滲出性中耳炎は治らないと慢性中耳炎などになってしまい、手術が必要になることもあるので、中耳炎は耳鼻咽喉科医師のもとでしっかり治すことが大事だよ。。

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にもマイコプラズマ(Mycoplasma  bovis)が耳管を通して中耳に感染するマイコプラズマ中耳炎があるよ。

子牛のマイコ中耳炎は3から6週令で多発し、肺炎や関節炎を併発している場合が多いんだよ。

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人の場合は細菌による中耳炎で、抗生物質の効果があるけど、子牛の感染するマイコプラズマは細菌より小さい微生物で、細胞壁がないため抗生物質による治療効果が低く、一旦発症してしまうとなかなか治らないのよね。

治りにくい病気なので、予防策としてワクチン接種と抗生物質の投与が推奨されている。

臨床現場では、耳道(中耳、耳管)洗浄が行われており一定の効果はみられるけど、見えない耳の中での治療は、鼓膜を破る際の子牛への疼痛ストレス、外耳内の汚染物が中耳や耳管に入る危険性、炎症を波及させ中耳炎を悪化させる危険性がある。

そのため、内視鏡で見ながら治療する方法がストレスもなく家畜福祉の面からも望まれるよね。

私も小学校5年生の頃、中耳炎を発症し耳鼻科で鼓膜を切開され、あまりの疼痛のため大泣きした思い出が今も鮮明に残ってるよ。そのためか子牛にまだ耳道洗浄は一度も行っていません。

 

 

サルモネラ症

サルモネラ症は、サルモネラ菌によって引き起こされる病気。 普通は、急性の発熱、腹痛、下痢、嘔気、ときには、嘔吐によって特徴づけられ、食中毒の原因菌として聞いたことあるでしょう。 通常、発症するのはサルモネラ菌(弁当などで)を取り込んでしまってから6-72時間(通常、12-36時間)で。、症状は2日-7日も続く。

 

  • 人の医療で、サルモネラ症は、世界で下痢症を起こす4大原因疾患のうちの1つです。
  • サルモネラ症は、世界で下痢症を起こす4大原因疾患のうちの1つです。
  • サルモネラ症は、軽症の人がほとんどですが、ときに、生命を脅かすことがあります。この疾患の重症度は、宿主要因とともにサルモネラの血清型に左右されます。
  • 抗生物質への耐性は、世界的な公衆衛生上の懸念です。サルモネラ症には複数の耐性をもつ血清型の細菌が現れており、食品流通に影響を与えています。
  • サルモネラ症を防ぐ対策には、「十分な調理」といった基本的な衛生習慣が勧められています。

人にはすべての血清型の菌が病気を引き起こします。一方、数種類の菌は宿主に特異的で、1種類もしくは数種類の動物種だけで生存します。例えば、Salmonella enterica血清型Dublin型およびSalmonella enterica血清型Choleraesuis型は、それぞれウシとブタにのみ生存が可能です。これらの特定の血清型の菌が人に疾患を引き起こす場合には、しばしば侵襲的となり、生命を脅かすこともあります。しかしながら、ほとんどの血清型の菌は広範囲の宿主で生存します。通常、このような血清型の菌が起こす胃腸炎は、ほとんど合併症を起こすことがなく、治療も必要としません。しかし、幼少期の子ども、高齢者、および免疫力の弱い患者では、疾患が重篤になることがあります。これらの集団は、Salmonella enterica血清型EnteritidisおよびSalmonella enterica血清型Typhimuriumに特徴的に反応します。これら2種類の血清型サルモネラ症は、世界のほとんどの地域で、動物から人に感染伝播する特徴を有します。

 

感染源と感染経路

  • サルモネラ菌は、家畜および野生動物に広く生息しています。これらは、家禽類、ブタ、ウシ、さらには、犬・猫・鳥などのペット、カメのような爬虫類にも生息しています。
  • サルモネラ菌は、家畜飼料、一次生産物、さらには、食品サービスの製造施設から店舗や家庭内の感染経路まで、すべての流通経路をすり抜けることができます。
  • 一般に、サルモネラ症患者は、動物に由来(主に卵、肉、家禽、生乳)し、細菌の含まれた食べ物を食べることで感染します。肥料で汚れた緑黄野菜など、その他の食べ物とも、当然、関係してきます。
  • 人から人への糞口感染も起こり得ます。
  • 人への感染は、個人がペットなどの感染した動物と接触することでも起こります。これらの感染した動物は、ほとんどが病気の徴候を示していません。

                             厚生労働省より抜粋

 

牛のサルモネラ症は昔から子牛の下痢(腸炎)として知られていたけれど、1990年代以降は親牛(乳牛)の集団感染が多数発生してしているんだわ。親牛の場合は必ずしも下痢を発症するものではなく、保菌牛として無症状で過ごしている牛もいることが難しいところで、知らないうちに牛群に蔓延してしまっていることが多いんだよね。

親牛(乳牛)の場合は、無症状の牛がいつの間にか牛群の中で増加していき、感染牛の中で重症になった牛が発熱、下痢をしてサルモネラ症と診断される。だけども、その時点はもう手遅れ。牛群全体を検査すると、もう牛群の50%前後がサルモネラ菌に感染しているという場合が多いんだよね。

サルモネラ菌に感染した牛は牛乳を搾っても出荷できないので、搾乳牛群での集団感染は莫大な損害になってしまうんだよ。

子牛の場合は、発熱、腸炎、敗血症を主なあ症状として急性、あるいは慢性の感染症で、主な菌はSalmonella.Typhimurium(ネズミチフス菌、ST)、Salmonella.Dublin(ダブリン、SD)、Salmonella.Enteritidis(エンデロティディス、SE)の3種類です。

SDは牛に特異性の高い菌ですが、STとSEは人にも感染し、食中毒の原因としても重要なんです。

 

治療は主に抗生物質だけど、治ってからも見かけ上健康な保菌牛となり、間欠的に菌を出し続けて、ずっと感染源となることもあるので気をつけでね。

また、サルモネラが属する腸内細菌科の細菌種は抗生物質が効かない菌(多剤耐性菌)が沢山出現しているので、抗生物質をつかうときは薬剤感受性を充分考えないとね。抗生物質の乱用は、人間の世界での多剤耐性菌の出現にも影響していますので、臨床獣医師は抗生物質の使用にあたっての配慮が重大な義務となります。

 

食中毒は真夏の猛暑日の続く時期よりも、10月が年間で一番多く発生しているので、気をつけよう。

 

 

 

牛乳しぼり体験では手洗いを!!

全国各地に観光牧場で、乳しぼり体験をやっているところは沢山あるね。

皆も、小さい頃に体験した経験があるんじゃないの?昔の話なので忘れてしまったかもしれないけど、家に帰ってからお腹が下った経験ないかい?

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昔はいちいち手洗い等はしなかったと思うけど、今は、乳しぼり体験後は必ず手洗いを指導するように義務付けられているんだよね。

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なぜかというと牛さんの大半が、下痢を起こす原虫(寄生虫)を持っているんだよ。この寄生虫はクリプトスポロディウムという。

子牛の口から感染し、腸管内に寄生することにより水様性の下痢を発症。

整腸剤を飲ませたりしながら、一週間程度で徐々に治っていく。

牧場で哺乳を担当する新米従業員さんは、最初の頃に必ずこの下痢に罹ってしまう。

同じように、普段、牛に接触しない人が、観光牧場などでの乳しぼり体験で牛に触って、その後に綺麗に手洗いしないと、手に付いたクリプトスポロディウム原虫が手から口を通して感染してしまうんだよ。

この下痢症に感染してしまうと、特効薬はないので整腸剤等の対症療法で自然治癒を一週間くらい待つことになってしまうんで辛いよ。

 

以下は平成21年度食品安全委員会安全確保総合調査からの抜粋です。

1)クリプトスポリジウムの概要

(1)病原体と疾病の概要

1907 年に実験用マウスから初めてクリプトスポリジウム原虫が発見されて以来、本虫は主に形態 的に分類されてきた。1976 年に初の人体症例が発見され、1993 年には米国ミルウォーキーで塩素 に抵抗性の高い本虫のオーシストに汚染された水道水の飲水後、下痢を主症状とする約 40 万人 の患者が発生した。このような様式での患者発生は欧州、特に英国でも増加し、日本でも 1996 年 に埼玉県越生町で水道水を飲んだ住民の約 70%が発症する事態に至り、経口感染する水系の新 興感染症として注目された。健常者では本症に罹患しても自然治癒するが、AIDS 等免疫不全状 態のヒトでは衰弱死することもある。

 

家畜では特効薬がないので、下痢に対する対症療法で対応して1週間程度で治っていきますが、人間では、免疫不全状態の人が感染した場合、使用する薬剤が準備されているようですよ。

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牛乳はどれだけたくさん出るの?

本当は自分の子供を育てるために出している牛乳なんだけど、今の日本で飼われている搾乳のための牛(その代表的なホルスタイン種)ではどれくらいの量の牛乳(これを泌乳量と言います)が搾られているんだろうね。

うんちやおしっこの量は食べる量によって変わるけど、搾乳牛の場合1日当たり45~50kgのうんちと15kgのおしっこを出すのよ。 出されたうんちを発酵させたものを堆肥といい、畑に撒いて牧草などの肥料にするんだよ。

私が就職した約40年前は乳牛の1年間に出る牛乳の量は、約5,000kgだったよ。それがよく牛乳の出る系統のお父さん(種雄牛)を次の代に残すように改良が重ねられてきた結果として,1年間に約9,000kgもの牛乳が出るようになったんだよ。

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     (農林水産省「畜産統計」他 のデータ)

 

1日に出る牛乳の量としては、分娩直後は1日当たり20kgくらいだけど、分娩してから約2カ月で最も多くなり、一日に30~50kg、中には60kg以上も出す牛もいるよ。60Kgといえば大人の体重だよ。現在飼われている乳牛は、人間が利用するために泌乳量が増えるよう改良されてて、1年間に約9,000kgの牛乳を搾り取られているのだよ。なかには1日当たり70kg、1年間で20,000kgを超える牛乳を出す牛もいて「スーパーカウ」と言われているよ。

 

じゃ、実際に子牛を育てるのにはどれくらいの牛乳の量が必要なんだろうか。考えてみたことある?

和牛の場合では、子牛を産んでから6ヶ月間に486kg出たという報告があり、これを一日量に換算すると3kg弱にしかならないんだけど、体重がホルスタイン子牛の半分くらいしかない和牛の子牛には適当な乳量なのかも知れないね。

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生まれた和牛子牛は母牛から直接牛乳を飲んで、約半年一緒に生活するよ。その後、哺乳を止めて乾草等の餌を食べるようになって独り立ちするんだよ。

 

この数字を単純に一年分に換算してみると、多めに見積もっても1年間に1,000kgにしかなならない。つまり、現在牛乳を搾るために飼われている母牛たちは、1年間に子牛を育てるのに必要な量の約9倍もの乳量を搾られていることになっているね。

だから、牛の本当の食べ物である牧草だけではなく、配合飼料っていわれる穀類まで食べさせられているんだよ。本当は食べなくてもよい穀類を沢山食べさせられて色々な病気になってししまうんだよ。

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人の場合の乳腺炎と同じ乳房炎や、不妊症と同じ繁殖障害などがよくみられるよ。

乳房炎は4本ある乳頭のうちどれかが細菌が感染して炎症をおこし、全身に熱が出たりその乳頭から牛乳が出なくなってしまうこともあるんだよ。

繁殖障害は、次のお産のために妊娠しようとしても妊娠できない状況が続いてしまう病気。

 

いくら家畜として飼われているとはいえ、かわいそうだよね。

 

 

 

 



牛の分娩の流れ

牛のお産はどのように行われるのか。ここで説明してみるよ。

牛は分娩予定日が近づいてくると、乳房が張ったり、尾の付け根が窪んだり分娩兆候が見え始める。

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写真のように分娩に先立って骨盤の靱帯が弛緩するために、尾の付け根(尾根部)が陥没するんだよ。

 

分娩が始まると、尾を上げて、立ったり座ったり落ち着きのない様子になり、

次に陣痛が強くなってきて、一定の間隔で陣痛がくるようになるよ。この間隔と強さがまだ弱い時は立った状態のままですが、時間が経過し陣痛が強くなってくると、母牛は寝転んで陣痛が来る度に如何にも苦しそうな鳴き声を出すようになる。

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母牛の陣痛がより一層強くなり胎子が産道内へ進んでくると、写真のような胎子を覆う一番外側の袋(尿膜)が破れ、水のようなさらっとした液体が出る。この液体は胎児の尿が一旦溜まっているといわれている。これが一次破水、これは外で破れる前に膣の中(産道の途中)で破水してしまう場合も多いんだよ。

個体差はあるけど、尾の挙上が見られてから一次破水までに平均3〜6時間くらいかかるのが普通だよ。

一次破水が終わると、30分から2時間くらいで胎児と羊水の入った二次の胎胞が陣痛と共に出てくるよ。

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この状態で陣痛が続きニ次破水が起きる。ニ次破水と共に出て来る液体は、胎児が陣痛で押し出されやすい様に、ドロドロした半透明の液体(羊水)なんだよ。

陣痛と共に胎児が押し出され、前肢に続いて頭が出てくる。

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ここまでくれば、後は陣痛と共に出生するよ。

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このような経過でお産しますが、母牛のお腹の中で次のような状態でいるよ。

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普通はこの模式図のような体勢で陣痛を待っていますが、難産も色々発生することが多いよ。

前肢が出ないで顔だけが先に出てしまう場合、後肢から出てくる場合、お尻から出て来る場合など色々な難産があり、その時は依頼を受けて獣医師が往診することになるよ。

正常なお産は農家の人たちで処理されていくので、獣医の出番はあまりないのが普通なんだよ。

 

妊娠の方法? どうするの?

牛乳を搾る(搾乳)ために飼われている牛たちは、お産することにより牛乳が出はじめるけど、では、どうやって妊娠しお産するのだろうね。

酪農の牧場には、雌牛しか飼われていないのは知ってる?。雄牛は成長しても牛乳を搾れる訳ではないので、生まれてから一週間くらいで市場に売られてしまうのよ。ドンナドンナの歌みたいにね。

では、どうやって妊娠するのだろうか。肉牛などの場合は、昔は雌の群の中に雄牛を1頭入れておいて雄牛が勝手に種付けして歩く、所謂、「まき牛」という方法を多くとっていたんだよね。

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放牧された雌牛の群の中に写真の様な種雄牛を1頭入れて「まき牛」を行ってい

 

現在では、凍結精液といって精液を0.5mlのストローに充填し凍結したものが簡単に流通し、いろんな種類の精液を容易に入手することができるようになったため、人工授精が行われるようになっているよ。

雌牛だけの牛群の中でどの牛に人工授精を実施するのか?

雌牛だけの群でも、その中に発情の牛(雄牛を許容できる、排卵直前の状態)がいると雌牛同士で乗り合う乗駕行動という行動をする。その時、乗られてもじっとして動かない牛(スタンディング発情と言われる行動)が人工授精を実施できる牛と判断できるんだよ。

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人工授精というと一体どうやるのかな?

0.5mlのストローに入った凍結精液(冷凍保存)をお湯で溶かして、注入器という器具に装着し、これを獣医師か人工授精師が雌牛の子宮の中に入れるんだよ。

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上の写真が精液の入ったストローです。これを下の注入器に装着し、人工授精をする。


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直腸検査といって片方の腕を肛門から入れて、直腸の壁を通して子宮の上から入り口を捕んで、注入器を子宮内に誘導、反対の手で注入器の中芯を押して精液を子宮に出す

 

こうして母牛はめでたく妊娠。上手くいけば1回で妊娠するけど、最近の調査データでは2回から3回くらい性周期(平均21日)ごとに人工授精を繰り返してようやく妊娠することが多くなっているみたい。乳量が少なかった時代は1回くらいで妊娠するのだ普通だったけど、品種改良が進み乳量が増加するに従って次第に妊娠しずらくなってきているんだよ。

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直腸検査や超音波装置、牛乳の中に出てくるタンパク質の測定等により妊娠鑑定して妊娠が確定したら出産の予定日を決めるよ。

牛の場合は、人工授精の実施日の月数から3を引いて、日に7を足した月日を出産予定日と決めているよ。例えば、7月6日に人工授精が行われたとき、月数の7から3を引いて4月、日数の6に7を足して13日、つまり来年の4月13日がめでたい出産の予定日となる。間に2月があるかないかにより多少異なりますが、妊娠期間281日から283日が出産予定日となる。

最終生理を基準にして280日を足して予定日とする人間の場合とは少し違うけど、これは人間は排卵日がはっきり決められないためなんだよね。

牛は発情の翌日が排卵日だよ。