サルモネラ症

サルモネラ症は、サルモネラ菌によって引き起こされる病気。 普通は、急性の発熱、腹痛、下痢、嘔気、ときには、嘔吐によって特徴づけられ、食中毒の原因菌として聞いたことあるでしょう。 通常、発症するのはサルモネラ菌(弁当などで)を取り込んでしまってから6-72時間(通常、12-36時間)で。、症状は2日-7日も続く。

 

  • 人の医療で、サルモネラ症は、世界で下痢症を起こす4大原因疾患のうちの1つです。
  • サルモネラ症は、世界で下痢症を起こす4大原因疾患のうちの1つです。
  • サルモネラ症は、軽症の人がほとんどですが、ときに、生命を脅かすことがあります。この疾患の重症度は、宿主要因とともにサルモネラの血清型に左右されます。
  • 抗生物質への耐性は、世界的な公衆衛生上の懸念です。サルモネラ症には複数の耐性をもつ血清型の細菌が現れており、食品流通に影響を与えています。
  • サルモネラ症を防ぐ対策には、「十分な調理」といった基本的な衛生習慣が勧められています。

人にはすべての血清型の菌が病気を引き起こします。一方、数種類の菌は宿主に特異的で、1種類もしくは数種類の動物種だけで生存します。例えば、Salmonella enterica血清型Dublin型およびSalmonella enterica血清型Choleraesuis型は、それぞれウシとブタにのみ生存が可能です。これらの特定の血清型の菌が人に疾患を引き起こす場合には、しばしば侵襲的となり、生命を脅かすこともあります。しかしながら、ほとんどの血清型の菌は広範囲の宿主で生存します。通常、このような血清型の菌が起こす胃腸炎は、ほとんど合併症を起こすことがなく、治療も必要としません。しかし、幼少期の子ども、高齢者、および免疫力の弱い患者では、疾患が重篤になることがあります。これらの集団は、Salmonella enterica血清型EnteritidisおよびSalmonella enterica血清型Typhimuriumに特徴的に反応します。これら2種類の血清型サルモネラ症は、世界のほとんどの地域で、動物から人に感染伝播する特徴を有します。

 

感染源と感染経路

  • サルモネラ菌は、家畜および野生動物に広く生息しています。これらは、家禽類、ブタ、ウシ、さらには、犬・猫・鳥などのペット、カメのような爬虫類にも生息しています。
  • サルモネラ菌は、家畜飼料、一次生産物、さらには、食品サービスの製造施設から店舗や家庭内の感染経路まで、すべての流通経路をすり抜けることができます。
  • 一般に、サルモネラ症患者は、動物に由来(主に卵、肉、家禽、生乳)し、細菌の含まれた食べ物を食べることで感染します。肥料で汚れた緑黄野菜など、その他の食べ物とも、当然、関係してきます。
  • 人から人への糞口感染も起こり得ます。
  • 人への感染は、個人がペットなどの感染した動物と接触することでも起こります。これらの感染した動物は、ほとんどが病気の徴候を示していません。

                             厚生労働省より抜粋

 

牛のサルモネラ症は昔から子牛の下痢(腸炎)として知られていたけれど、1990年代以降は親牛(乳牛)の集団感染が多数発生してしているんだわ。親牛の場合は必ずしも下痢を発症するものではなく、保菌牛として無症状で過ごしている牛もいることが難しいところで、知らないうちに牛群に蔓延してしまっていることが多いんだよね。

親牛(乳牛)の場合は、無症状の牛がいつの間にか牛群の中で増加していき、感染牛の中で重症になった牛が発熱、下痢をしてサルモネラ症と診断される。だけども、その時点はもう手遅れ。牛群全体を検査すると、もう牛群の50%前後がサルモネラ菌に感染しているという場合が多いんだよね。

サルモネラ菌に感染した牛は牛乳を搾っても出荷できないので、搾乳牛群での集団感染は莫大な損害になってしまうんだよ。

子牛の場合は、発熱、腸炎、敗血症を主なあ症状として急性、あるいは慢性の感染症で、主な菌はSalmonella.Typhimurium(ネズミチフス菌、ST)、Salmonella.Dublin(ダブリン、SD)、Salmonella.Enteritidis(エンデロティディス、SE)の3種類です。

SDは牛に特異性の高い菌ですが、STとSEは人にも感染し、食中毒の原因としても重要なんです。

 

治療は主に抗生物質だけど、治ってからも見かけ上健康な保菌牛となり、間欠的に菌を出し続けて、ずっと感染源となることもあるので気をつけでね。

また、サルモネラが属する腸内細菌科の細菌種は抗生物質が効かない菌(多剤耐性菌)が沢山出現しているので、抗生物質をつかうときは薬剤感受性を充分考えないとね。抗生物質の乱用は、人間の世界での多剤耐性菌の出現にも影響していますので、臨床獣医師は抗生物質の使用にあたっての配慮が重大な義務となります。

 

食中毒は真夏の猛暑日の続く時期よりも、10月が年間で一番多く発生しているので、気をつけよう。