牛の分娩の流れ

牛のお産はどのように行われるのか。ここで説明してみるよ。

牛は分娩予定日が近づいてくると、乳房が張ったり、尾の付け根が窪んだり分娩兆候が見え始める。

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写真のように分娩に先立って骨盤の靱帯が弛緩するために、尾の付け根(尾根部)が陥没するんだよ。

 

分娩が始まると、尾を上げて、立ったり座ったり落ち着きのない様子になり、

次に陣痛が強くなってきて、一定の間隔で陣痛がくるようになるよ。この間隔と強さがまだ弱い時は立った状態のままですが、時間が経過し陣痛が強くなってくると、母牛は寝転んで陣痛が来る度に如何にも苦しそうな鳴き声を出すようになる。

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母牛の陣痛がより一層強くなり胎子が産道内へ進んでくると、写真のような胎子を覆う一番外側の袋(尿膜)が破れ、水のようなさらっとした液体が出る。この液体は胎児の尿が一旦溜まっているといわれている。これが一次破水、これは外で破れる前に膣の中(産道の途中)で破水してしまう場合も多いんだよ。

個体差はあるけど、尾の挙上が見られてから一次破水までに平均3〜6時間くらいかかるのが普通だよ。

一次破水が終わると、30分から2時間くらいで胎児と羊水の入った二次の胎胞が陣痛と共に出てくるよ。

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この状態で陣痛が続きニ次破水が起きる。ニ次破水と共に出て来る液体は、胎児が陣痛で押し出されやすい様に、ドロドロした半透明の液体(羊水)なんだよ。

陣痛と共に胎児が押し出され、前肢に続いて頭が出てくる。

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ここまでくれば、後は陣痛と共に出生するよ。

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このような経過でお産しますが、母牛のお腹の中で次のような状態でいるよ。

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普通はこの模式図のような体勢で陣痛を待っていますが、難産も色々発生することが多いよ。

前肢が出ないで顔だけが先に出てしまう場合、後肢から出てくる場合、お尻から出て来る場合など色々な難産があり、その時は依頼を受けて獣医師が往診することになるよ。

正常なお産は農家の人たちで処理されていくので、獣医の出番はあまりないのが普通なんだよ。