職場内クラスター発生!!

東京では24日新たに感染者が55人確認されました。夜の街ばかりではなく一般的な職場のクラスターが発生しているとみられており、ゴールデンウィーク以来50人を超えて、緊急事態宣言解除後、最も多い数値となりました。

55人のうち12人はホストクラブなどの集団検査で判明した人数です。ところが他に同じ職場で働く会社員の職場内クラスターが発生し8人を数えました。

この職場内クラスターが発生した会社はデスクワークが主な仕事で、今回の8人というのは23日までに感染が判明した7人の濃厚接触者として保健所が調査していた会社の同僚たちの中から24日に感染者として判明した人達です。

また東京都では都立の特別支援学校の教員が感染し、それに関してこの男性教員が指導した生徒11人と同僚の職員16人合わせて27人もが濃厚接触者として自宅待機にされています。

やはり、政府が勧める三密を避けるための感染防御対策を順調に実施しなければ今回東京都で見られたような職場内クラスターが通常業務の中で発生して行くようです。大変恐ろしいことですね。

国の緊急事態宣言解除によりコロナに対する気持ちが全体的に緩んできているのかもしれません。ある会社の管理職は我々はコロナに勝った訳でもなく、共存できる方法を見つけた訳でもなく、ただ単に健康より経済を優先しているだけであると部下に言って在宅勤務を続けているところもあるそうです。全くまともな意見ですね。政府はもう既に各個人が感染対策を行いながら行動して下さいと言い切っています。この言葉はやはり健康よりも経済を優先した無責任な言葉に聞こえてしまいますよね。

ところで皆さんの職場ではどの程度感染対策が続けられていますか? 私の職場では未だに全員マスクは装着し、人と人との間もビニールシートで区切っています。先日、他の地区を見てきた営業の人に、この職場は随分物々しくやってますねと言われました。きっと他の職場ではかなり感染に対する対策が緩めになっているのではないでしょうか。もしかするともう職場内の飲み会なども平気で行っているのかもしれません。コロナがなくなった訳ではないのでそんなことをしているとたちまちクラスターが発生しても不思議はないですよね。やはり職場全体で気を引き締めていかないと感染対策の励行は無理ですね。

 

職場内クラスターの発生に関しては労災問題もあるようです。

まず、「職場クラスター」が発生した場合の企業責任としては

 

1 労災責任

通常は「風邪を引いた」、「インフルエンザに罹患した」などは労災認定されるケースはありません。これは、「どこで感染したか分からない」からです(法律的には業務起因性が認められないと言います)。

でもコロナウイルス感染の場合は次のように考えられるそうです。

(1)医療従事者等※について

 まず、感染源が業務外であることが明らかでない場合を除いて、医療従事者については原則として労災の対象になります。

 ※患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等

(2)医療従事者等以外の労働者(本稿では「通常の労働者」といいます)であって感染経路が特定されたもの

 医療従事者でなくとも、感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合については、労災保険給付の対象とするとしています。

 ※例えば、コロナウィルス感染者が発生した際のオフィスの消毒を請け負う業務は、業務そのものに感染リスクが内在していると言えるために従事する労働者などが考えられます。ドイツで発生しているとされる食肉処理場のクラスターなどもこれに該当し得る可能性があるでしょう。

(3)通常の労働者かつ、感染経路が特定されていない場合

  この場合でも、感染リスクが相対的に高いと考えられる以下の環境下で業務に従事した場合には「業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断する」とされている点に特徴があります。

(ア)複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務

 ※例えば多人数かつ三密の会議でクラスターが発生したようなケース

(イ)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

 ※例えばスーパーマーケットやコンビニ店員、駅の改札業務など

 

 

2 安全配慮義務違反としての民事損害賠償責任

  

次に、クラスター発生により労災認定がされたとして、企業独自の責任(損害賠償責任など)はどう考えるべきでしょうか。

  まず、注意すべきは、労災認定がされることと、企業が安全配慮義務を尽くしていないとして損害賠償を負うことは別物だということです。労災は正に「保険」として業務に内在する危険が現実化した場合に企業の過失によらずに認められるものです。一方で、安全配慮義務違反の損害賠償については、企業の過失を前提としますから、どれほど企業が対策していたとしても、無自覚陽性者からの感染など、一定程度避けられない感染があり、その場合には、「労災認定されたが、安全配慮義務違反はない」という場合もあります。

 安全配慮義務は結果責任ではなく、過失責任なのです。

 いずれにしても、職場全体の感染防御対する姿勢を一年くらい気を緩めないで続けていく事が大切なんですね。