相撲協会の理事選挙が行われ貴乃花親方が落選との報道が盛んです。今回の選挙では世間から批判を受け続けている相撲協会が新たな方向へ舵を切る機会であるように言われていますが、そもそも立候補者の半数以上が元理事では新しい方向へ積極的に転換できるとはあまり思えません。結果的には半分以上が元理事で、改革派の扱いにくい貴乃花親方はいなくなったということは今まで通り進むことが予想されます。理事長も多分理事の互選で選ぶのでしょうから前と同じになるのではないでしょうか。貴乃花親方は理事を解任されたばかりなので、もし当選しても評議委員会が認めない可能性もあったようです。このことを予想して貴乃花親方は自分の一門から他に立候補者を出したのでしょう。報道で言われているような自分も他の一門からの票を取って当選するつもりはなったのではないでしょうか。やはり評議委員会が気になっていたと思います。
貴乃花親方は無投票選挙が良くないという信念で負けを承知で立候補したのでしょう。組織にとって無投票選挙は良くありません。私の町の選挙でも時々ありますが、選挙がないということは当選者が選挙を機会に政策を熟考したり訴えたりすることがなくなり惰性のまま次期に入っています。このようなことがないように当選者に自覚を持ってもらうため選挙は必要なものですね。でも、今回の貴乃花親方の行動の結果、世間は「落選」という言葉の印象を強く受けてしまい、貴乃花親方に対しマイナスイメージを持ったのではないでしょうか。報道もこれに加わり貴乃花親方の求心力が弱まったと悪いイメージを助長しているような気がします。「古い体質を改善していく第一歩として無投票選挙を阻止した貴乃花親方 残念!!」くらいの報道にしておけば悪いイメージにはならないと思います。
落選の「落」という字は日本語の中では悪い意味しかないようです。入学試験に落ちる、学年を進級できずに落第する、魚の鮮度が落ちる、人情も地に落ちた等悪い事しか意味しません。大学生は落第という言葉を留年に換えて印象を操作しています。貴乃花親方は理事会の中でたった一人で改革を進めようとしてきたので、時に無言を貫かなければならない時期もあり、そういう時の報道陣を無視するような態度を嫌われてしまった結果が今のような落選報道の過熱を招いたのかもしれません。
一庶民としては自分の関係者全部に好かれることはできないけれど、なるべく嫌われることが少ないように生活したいものです。貴乃花親方のようにはなかなか強く生きられませんね。