馬の妊娠期間は11ヶ月 ばんえい競馬でレース前日に出産

帯広市が主催するばんえい競馬場で出走予定だった馬牝3歳が、出走予定前日に厩舎内で出産しているのが発見され出走を取り消すという事件が起きました。

この母馬は今年ばんえい競馬の競走馬としての能力検査に合格し、今月3日にデビューしたばかりの馬でした。今回2回目の出走レースとして予定を組んでいましたが、その前の日に子馬を出産するという珍事が起こってしまいました。

厩務員や調教師は馬の妊娠に気づかず、出産前日も乳房が張ったりする兆候が見られないことから分娩が近いとは全く気付かなかったと言っているそうです。

一般的な場合は、分娩直前に乳房が張り乳頭の先に乳ヤニと言われるものが付着、尾の付け根の周囲が陥没気味になる「いわゆる産道が落ちる」と言う体型的な変化も現れてきていたはずですが、何と言っても競馬場の中ですからまさか妊娠している馬がいるとは誰も思っていなかったため分娩に気がつく事が出来なかったのではないでしょうか。

調教師は妊娠に気づくことができなかったという理由で戒告処分を受けたということです。ちょっと気の毒な気もします。

馬の妊娠期間は11ヶ月、330日を基本としており人間よりも長い期間妊娠が続きます。

ばんえい競馬の馬たちは元を辿れば、昔畑を耕したり木材を運んだりいろいろな使役に一年中使われていたはずです。そのため妊娠期間中もいつも通り働いていたのでしょう。

特に馬は妊娠に関わらず、長い時間に寝転ぶことがないので今回妊娠末期に至っても通常通り生活していたものと思います。

今回出産した日から逆算すると交配日は昨年畜主の牧場にいた時期になります。

一般的には馬の出産は春だけで季節繁殖動物と認識されていますが、これは人が経済的な理由で交配時期を調整しているだけの話です。つまり、交配時期が遅れて出生が遅れると、同じ年齢の馬でも成長の度合いがかなり違ってきます。遅く生まれた馬はかなりのハンディーを追って成長し能力検査を受けることになるので不利な条件になってしまいます。そのため毎年7月くらいまでに交配を終了することによって出生時期を調整しています。

馬は季節繁殖動物ではなく、一年中、性周期が回って発情が来ます。寒くなってくると暖かい時期よりは性周期は回りにくくなりますが、発情は来て交配すると妊娠もできます。今回の競馬場での出産の場合も、通常の交配時期を過ぎた9月に自然交配したものと考えることができます。

それにしても妊娠末期臨月になってから競馬に出走したということは大変つらかったのではないかと心配になってしまいます。