脂肪肝

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人間で、よく話題になるのが、生活習慣病です。特に我々シニア世代には耳が痛くなる話題です。

生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、脳卒中は、生活習慣病に含まれます。

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生活習慣病とは、1996年頃から使われるようになった用語です。以前は成人病といわれた、脳卒中、がん、心臓病を、生活習慣という要素に着目して捉え直した用語と位置づけられます。国際的には、これに慢性閉塞性肺疾患(COPD)を加えたNCDs(非感染性疾患)という言葉もよく使われるようになっています。

これとよく似て同じようなイメージの病気が、メタボリックシンドロームです。

たしかに生活習慣病とメタボリックシンドロームは似ていますが、少し違います。メタボリックシンドロームとは、内臓肥満(内臓脂肪の蓄積)があり、血圧、脂質値、血糖値のうち2つ以上に異常を認める症候群のことをいいます。

ここで注意が必要なのが、高血圧、脂質異常症、糖尿病の診断基準に比べて、メタボリックシンドロームの血圧高値/脂質異常/高血糖の基準はやや厳格であるということです。「私は健康診断で高血圧といわれていないから大丈夫」と思っていても、内臓肥満があり、他の検査値異常と合併していたらメタボリックシンドロームに該当することがあるため、油断は禁物です。

f:id:sinmaisinia:20211217095511p:plainウエストが男性で85cm、女性で90cm以上が基準です。

 

 

このメタボリックシンドロームの中の、脂質異常症の部分が牛の脂肪肝という病気と似たところがあります。

乾乳期(分娩前の搾乳していない時期)の太り過ぎた牛にも発症しやすいです。

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脂肪肝というのは、中性脂肪が肝臓に過剰に蓄積した状態です。牛では、主として分娩前後における飼料摂取の低下や飼養管理上のストレス、分娩により泌乳の開始などにより生体が低エネルギー状態になった時に発症します。

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肝臓への脂肪蓄積が多ければ多いほど重篤な脂肪肝となり肝臓の機能が失われます。

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左が黄色く変色した重度の脂肪肝、右が正常な牛の肝臓です。

分娩後などエネルギー摂取が追いつかなくなると、皮下脂肪などの脂肪組織が分解されエネルギー産生のため大量の脂肪酸が血液によって肝臓に流れ込みます。

その流入量が肝臓の処理能力を超えてしまうと、中性脂肪の形で肝臓に蓄積していき、肝臓機能の低下を招きます。

脂肪肝は軽度の場合は明瞭な症状を表しませんが、重度になった場合は食欲廃絶、第一胃運動減弱、ケトーシス(重度)を発症する場合が多くなってきます。

脂肪肝の状態では、第四胃変位、乳熱、胎盤停滞などの周産期疾病(分娩前後の病気)を引き起こし、生産性が低下(牛乳の生産量の低下)してしまいます。

乳牛は分娩後、急に乳量が増加するため、口から摂取する餌だけでは足りないエネルギーを、太っている牛ほど内臓脂肪や皮下脂肪を大量に分解して消費し脂肪肝になります。

 

この脂肪肝を人工的に作って、世界の珍味とか言っているのでが、フランス料理の「フォアグラ」です。

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アヒルに無理やり餌を大量に食べさせ、脂肪肝の病的な状態を人工的に作り出しています。

人間は本当に自分勝手ですね。